平働休遊な生活

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『友罪(薬丸岳)』あらすじ、感想

少年犯罪をメインとした難しい題材で有名な薬丸岳さんの本が初映画化したとあって、原作未読のため読んでみました。

 

生田斗真さんと瑛太さんで映画化され、2018年5月から放映されました。キャストも力が入ってるみたいですし、今後ますます薬丸岳さんが注目されそうです!

 

友罪 (集英社文庫)

 

あらすじ

ジャーナリスト志望だが、中学時代の友人の自殺が原因で潔癖すぎて夢叶わず、埼玉の小さな町工場に就職した益田、27歳。同日に入社した鈴木は人を遮断するかのような暗い雰囲気だ。それもそのはず、14年前幼い子供を二人殺害して日本を震撼させた少年犯罪「黒蛇神事件」の犯人なのだ。※本書は鈴木の周囲の人が、その事件の犯人かどうかを疑って話が進んでいきますが、読者には早い段階で犯人と分かるように書かれています。

 

徐々に益田と鈴木は打ち解けあっていく。ある時鈴木が、自分が自殺をしたら悲しいと感じるかを問い、益田が悲しいと思うだろうと答えたことから奇妙な友情関係が始まった。というよりも、鈴木が一方的に益田を親友と認識するようになったという方が正しいだろう。

 

ジャーナリスト志望だった益田には、元恋人がアナウンサーだったり、先輩が週刊誌の出版社で働いていたりと、ジャーナリズム関係の知り合いがいる。その関係で、ある時益田は、黒蛇神事件ついて記事を執筆する機会が訪れる。益田は調べていく中で、犯人が鈴木であることに気づく。そしてまた、意図せず益田の記事が週刊誌に載ることで、鈴木が犯人である過去は皆の知られるところとなっていく。

 

益田は自身の感情と常識の間で揺れ動いていく。

 

感想

いつもながらに難しいテーマです。本書を読んでいると、記事を載せる週刊誌側の人間や、鈴木と同じ町工場で働く同僚が、鈴木を犯人と知ってから態度を翻す姿が浅ましく感じるように描かれています。

 

それを読むと嫌悪感を抱いてしまうのですが、だがしかし実際に自分がその立場になったら同じような態度を取らないかどうかと考えると難しいです。

 

過去に犯罪を犯した人に対する一般的な視点とは異なる角度から物事を読者に見させる筆力は圧倒的なものがあります。

 

読了後、この本から何を感じたらいいのか正解が分からない途方に暮れた気持ちになりました。

 

きっと正解はないのだけれど、一方的に犯人を断罪するだけではなくて、もし親しい人が同じ立場だったら自分はどう感じるであろうかという、ある意味では非日常的なシチュエーションで犯罪や犯罪者について考えさせられました。

 

この重いテーマを映像でみると胸が詰まりそうですが、どのように描かれているのか見てみたいと思いました。